平安鎌倉時代のサカルとサガル
勝田耕起
サカル(離)は院政鎌倉期の一般語とされていたが、用例を再検討しサガルと判ぜられるものを除くと、和歌の複合語例は「古語めかし」であり、平安時代には漢文訓読に少し現れる程度の、廃語寸前の語だったことが明らかになった。一方「下ガル」は中世に用法を広げたと言われるが、その始まりは11世紀に遡りうること、空間的用法から非空間的用法に意味拡張し、後者は程度の下降、時間の経過、と展開し現代語に繋がることを示した。
国語学研究
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