伊須気余理比売の歌二首の景と喩と―御子の資質とその起源―
松田浩
『古事記』において伊須気余理比売は、歌によって皇子の危機を知らせ、その喩を理解した皇子が第二代天皇となる。本稿は、歌のアスペクト表現および語句と物語叙述との照応関係の分析を通じて、自然の景物を言語化する能力こそが、言の秩序を司る天照大御神の直系たる天皇に求められた資質であることを論証する。
古代文学
古代文学会
62号