言葉の力:トニ・モリスンとスレイド・モリスンの『どっちの勝ち?』
本稿は、トニ・モリスンがスレイド・モリスンとともに出版した児童文学作品の一つであり、イソップ物語の語り直しとされる『どっちの勝ち?』(Who's Got Game?, 2003)において、「語り」の持つ力について考察したものである。特に、モリスンが追究してきた「他者を生み出す仕組み」の中で、言葉がいかに抑圧的で「他者」を疎外するとともに、いかにそれに抵抗しうる道具であるかについて考察している。
『英文学会誌』
第53号