1965 年の発足以来,日本政府の国際協力事業である青年海外協力隊は「日本語教師」隊員を継続的に世界の様々な国・地域に派遣してきた.2018 年 9 月末までに累計 2000 人弱の派遣実績があり,公的事業として日本語教育支援を続けてきた.近年,特に隣国の政府主導の言語・文化学習施設の建設が世界中で見られるようになり,国内外の日本語教育に関する成果の数値化が盛んに行われている.本稿は,日本語教育の成果として,それら数値化された成果だけではなく公的な日本語教育支援に関わった元学習者と元教師である当事者の立場から日本語教育の質的な成果に着目し,その成果を問い直すことを目的としている.